ペペローネのコラム7~最強の裏メニュー~

久々のコラムになってしまいました。というのも冬季限定の新メニュー ninopepeトマト鍋を12月中にデビューさせるべく試作を繰り返したり 東京にトマト鍋の美味しい店が有ると聞いて食べに行ったり販促のチラシを作ったりと 時間が無かったのです。そして今回のコラムも ninopepeトマト鍋がデビューに至るまでの5年間を書く予定でいたのですがある方から この時期のタイミングでしかできないであろうという企画を提案して頂き。ややマニアックな特定のパスタ通向きの人への企画なのですが喜んでくれるお客様がいるはずだ という提案者の言葉を信じて急遽やることになりトマト鍋のよもやま話は時期を見ていずれということにしました

よって今回のコラムはそれ関連の話をさせていただくことにいたします

さて本題に入りますがチェーン店なんかは別にいたしましてある程度何年もやっている店(飲食店)
特に常連客の多い店には通常のメニューリストには記載されていないが知っている人だけがオーダーする いわゆる裏メニューというものが有るものです 当ニノペペローネにも幾つか裏メニューらしきものがありますがその多くは以前メニューに載せていましたが何らかの理由で通常のメニューから外し現在はタテマエとしてはやっていない料理達です。その中の一つに牡蠣のぺぺロンチーノというパスタ料理があります。もう15年位前になりますがカウンター席に1人でお越しになっているお客様が私とのやりとりの中で 自分は牡蠣が大好きなのだが 牡蠣でぺぺロンチーノ的なスパゲッティーはできないものだろうか?と尋ねられ私は今度やってみますよ と軽い気持ちで受け答えました。

後日 牡蠣のぺぺロンチーノの試作をしてみたのですが牡蠣から出てくる水分の予測が難しかったり アクがフライパンにこびり付いたり牡蠣は今までぺぺロンチーノにして来た他の食材とは同じ感覚で 調理できなく苦戦を強いられましたあらかじめ牡蠣を素揚げとかフリットにしておけば問題は解決するのですが 依頼者の望んでいた完成品のイメージは牡蠣のエキスがパスタ自体にからんでいなければならずその為には下処理をせず生牡蠣からぺぺロンチーノにしなければならないという考えの基に試作を重ねイメージどおりを模索し何日後かに解決策を見出したのでした。しかしこの作り方は段取り的に2品作るのに等しく時間が掛るうえに出来上がるまで一瞬たりとも目が離しづらく全く他の作業ができなく付け加へて2人前以上は一度に作れないときている しかしこの方法でないと依頼者のイメージにストライクは投げ込めないと判断し依頼者であるお客さまが来店した時に試作した牡蠣のぺぺロンチーノを食べてもらいました 食べ始めても美味しいともマズイとも何も言わず終始無言

私は自分の中でイメージを勘違いしたのでは?と不安なままその様子をサラッと伺っていましたがそのお客さまは全て食べ終わるや否や「完璧」「素晴らしい」みたいな おほめの言葉をつらつらと並べていただき私も調子に乗って苦労したんですよ的な事をぺらぺらと並べたような記憶が有ります。当初そのお客様の興味本位の依頼に対する一度限りの答という意味合いで作った牡蠣のぺぺロンチーノでしたが あまりに褒めていただいたのでそれならもっと多くの人に食べて頂きたいと思いこんなに時間が掛かり神経がすり減るような牡蠣のぺぺロンチーノなんて物を季節のパスタと銘うってデビューさせてしまったのでした 

大変な事になりそうな気はしていましたが 実際にやってみたら案の定このオーダーが重なって入ると他のオーダーが回らなくなってしまい 結局牡蠣のぺぺロンチーノは1週間位でメニューから消えることになったのでした。

それから1年後当店に関する お客様の声 的なアンケートを店内で実施したところ その中に「以前ここで 牡蠣のぺぺロンチーノというスパゲッティーを食べましたが 自分の今までの人生で食べたスパゲッティーの中でこれ以上のものは無かった 復活させてください」という20代~30代位と思われる男文字で書かれたものが有りました 私自身としてはそれほどのものと思いませんでしたが、今でもこのアンケートを見た時の言い表す事の出来ない自分の中の魂周辺の空気が揺れたような 嬉しい 申し訳ない どうしよう など入り混じった複雑な感動を思い出すことができる それ以外にも牡蠣ぺぺの復活を望むものが幾つか有り そこまで言ってくれる人がいるのなら当時 消費税が5%に上がりランチタイムも以前ほどの忙しさでは無くなっていたので発想を切り変へこの一品の力でお客様を増やそうという考えで再度メニューに載せる決心をしました。
かくして牡蠣のぺぺロンチーノとの戦いがまた始まったわけですが以前ほど忙しくないとは言ってもランチタイムは急いでいるお客様も居るわけで 牡蠣ぺぺのオーダーが一度に4つ入って来たりするとそこから後の料理はなかなか出なくなりクレームが続出ニノペペローネ遅いというイメージがこの頃定着してしまった。それでもメニューから外さず悩み苦しみ胃を病んでまでも牡蠣ぺぺを作り続けやがて牡蠣の季節も終りランチタイムのお客さまはガラッと減ってしまいました。

それでも次の牡蠣のシーズンになると牡蠣ぺぺを待ち望むお客様の声に応えたいと季節メニューに載せてしまう こんなことを3シーズンほど繰り返せばトータルとしてマイナス面が目立つようになり以後牡蠣のぺぺロンチーノは二度とメニューに載せられなくなりました

が!! 

牡蠣ぺぺは3年間で多くのマニアックなお客様に受け入れられ人気は根強く牡蠣の季節になると 最強の裏メニューとして表立っては言えないが暗黙の了解で こっそり「カキノペペロンチーノ」とオーダーが入ってくるのです。
さて この封印されていた牡蠣のぺぺロンチーノですが 1年中で最も暇になる1月後半から2月前半ならできるのではないかという予想と まだ牡蠣ぺぺを食べたことの無い方にも是非という思いで1/31から2月12日(金)までの平日に限り (コラムの牡蠣ぺぺが食べたい)という合言葉の基 このコラムを読んで頂いた方のみ御注文承らせていただきます(¥1280)
※2010年のキャンペーンでした。

2010/1