ニノ・ペペローネ

コラムColumn

コラム3~猫話し~

ニノ・ペペローネの店内には猫グッズが多数飾られています。この店をオープンするにあたり飾り棚が殺風景だったので小さな陶器の猫達を10匹ほどディスプレイしたのが始まりでした。

イタリアでも猫は沢山見かけローマのコロッセオなんかはノラ猫天国みたいな状況でしたし ヴェネチアも運河の橋のたもとなんかに猫がよく居たりして猫とイタリアは私的には 有り なイメージだったのです

その後お客様からのお土産やアルバイトなど当店で働いてくれた方達から退職の際に頂いたり 諸々で現在のように猫いっぱいの にぎやかな飾り棚になったのですが嬉しくありがたいことです

飾り物の話はこのくらいにして生きている猫の話をします。今までざっと思い出して13匹の猫を飼ってきました
それぞれに思い出はあるのですが最初に飼ったシジミと名付けた猫がいました 24才社会人に成り立ての私はある複合商社で営業職についていたのですが お得意様の工場に迷い込んできた子猫を、なんとかしてくれ と強引に頼まれてしまい とにかくその場に子猫がいたら工場も邪魔だし 子猫もあぶないので已む無く引き取り車に乗せて里親探しも兼ねながらお得意様まわりをしたのですが里親は見つかりませんでした 会社に帰り社内でも里親は見つからず。とりあえず社屋の中にある私の社員寮につれて帰りました。とにかくまだ子猫で痩せこけていてミルクを一生懸命飲んだ後こたつ布団から顔だけ出して寝ているところを見ていたら けなげ かわいそう 可愛い 誰にも飼ってもらえなかった事が不憫 等々

いろんな気持ちが交錯して情も移り 私が寮でなんとか育てようと決めました。
幸い会社の許可ももらえ 寮の食堂のおばさんも5時頃まで世話をしてくれました。
会社の人達も飼ってはくれませんでしたが可愛がってくれ なんとかやりくりをしながらの猫育てでした週末実家へ帰る時も 社内全店対抗野球大会の時も彼女と会う時も(今の奥さん)いつも猫同伴でした。それまで特に猫が好きというわけでもなかったのですが周囲の協力の下 「しっかり育てろよ」的な なにか社内での私の評価 査定 にまで関わりそうな妙な空気と責任感に駆られ キャットフードや猫の砂をいつも心配していなければならない生活が始まりました。

でもその甲斐あって シジミと名付けた品相な三毛の子猫はすくすくと育ち 

皆から可愛い いい猫になったと言われるようになり 手放せない可愛い存在になりました。いつしか社内で私は 猫のお父さん とか シジのお父さん(シジと呼ばれていた) とか言われるようになりしだいに ネコの とか シジの とかが無くなってしまい だだの お父さんとかパパとかと呼ばれるようになり事情を知らない人は私のことを子持ちの24才だと思っていたことでしょう。 

しばらくしてから寮を出て一人暮らしを始めたのですが バスケットにシジミを入れて一緒に出勤する毎日でした。
ある嵐の週末静岡の実家に帰る途中通行止めで迂回したのですが道を違えしじみと二人水没の恐怖の中 車中で夜を明かすか 一か八か大きな水溜りを車ごと突っ切るかの決断を迫られた すでに車ごと試みだめになった高級車が数台有ったが携帯電話も無かった時代帰らないことには捜索願いが出そうだし その時の私の愛車はスバルの4WDだったので望みは有ると思いローギアで水溜りに突入した パワーが落ち駄目かとあきらめかけたがなんとか脱出できた しかし電気系統がだめになり嵐の中 動かないワイパーの代わりに窓を開け手作業でフロントウインドーをふきつつ無灯火で実家までたどり着いた 付け加えてフロアーマットはずぶ濡れで臭くなりディーラーに洗ってもらった しじみは後部座席で私と運命を共にしていた。

またある日いつもなら家から出て行っても しばらくすれば帰って来るのですが その日は帰って来ませんでした次の日もまた次の日も帰って来ません どこかで見たという情報が入る度 探しに行ったりしましたが見つからず1か月が経ち 具合の悪いことに台風が通り過ぎました もお臭いもすっかり消され残念だけどシジミのことは諦めていました。

シジミのいない環境にも慣れ始めたある日曜日の朝 玄関の外でニャーと猫の声がしたような気がしたのですが よく聞こえず玄関の方へ行こうと足を向けると またニャーと声が今度は確かに聞こえました
足取りは急に速くなりもう一度ニャーと聞こえた時には もうほとんど確信し‘’シジミー‘’と言って玄関を開けるとボロボロに疲れた まぎれもないあのシジミがこっちを見てもう一度ニャーと座していました。

その後シジミは15年ほど生きるのですが その間流産も有りましたが2度のお産で8匹の子供のお母さんになり 最初に生まれた3匹とはずっと一緒に暮らし 私も結婚 転職 修行 2児の父親 静岡に戻りニノペペローネ開店と目まぐるしく人生の転機の時代を共に生きた猫でした。

2009/9

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