イタリア料理とはWhat is Italian cuisine?
第10回 南イタリア料理~その2~
肉料理に関しては、ナポリをはじめ南イタリアでは牛肉よりも羊肉が多く使われるが、日常の食生活としての食材と言うよりは祭りなどの特別な時のごちそう的イメージが強いようだ。
また水牛を中心に牧畜も行われておりピッツアにはかかせないモッツアレラチーズもこの地の特産品である。ナポリには薄切りのパンの間にこのモッツアレラチーズをはさみ、オリーブ油で揚げた"モッツアレラ イン カロッツア" (馬車に乗ったモッツアレラ)というイタリアらしい名前の名物料理がある。
さらに南下しシチリアでは特産物のナスを使った料理が多いのも特長でシチリア風カポナータのような野菜の煮込み料理やスパゲッティーメランザーネなどがすぐ思い浮かぶ。魚介類も当然豊富でアンチョヴィなどのイワシ類の塩漬けなどもよく見られ、ケイパーの塩漬けやオリーブの実などがトマトと共に魚料理に多用される。
また、シチリアはイタリアで最初に砂糖が伝わった所でもあり、シチリア産の木の実類や柑橘類、リコッタチーズなどを使った菓子類も多い。カッサータシチリアーナやマルツアパーネなどはシチリアの菓子類を代表するものでしょう。
そして地中海に浮かぶサルデニアはシチリアと同じ島ですが、島特有の特域性さらに強く、せんべいのようなパンやフィノキオの香りの強いソーセージイノシシや仔牛の丸焼きなど独特の香り付けがなされており、海に囲まれているのに猟師的な野性味のある料理が多い。それは、サルデニアの人は伝統的に海のたたりを恐れ漁には出なく、この地で漁師をやっているのは他の土地から来た人がほとんどだ。という話しを聞いた事があるがそんな事の影響だと思う。
ざっと6回にわたりイタリアの北~南の料理の特性や違いなどをお話してきましたが、それぞれの地にそれぞれの料理があるというのが本来です。ただ大きな流れとして、
北部は、牛肉や羊肉の料理、米料理も多く、味もリッチで乳香でバター香が強くキノコのような山の香もする。パスタは生パスタが主流である。
中部は食材的にも肉は牛をはじめ内臓まで多用し魚介類も野菜も豊富で料理もバラエティに富んでいる。パスタはトスカーナ州とラッツォ州あたりで生パスタと乾燥パスタの比率が分かれている。味付けはオリーブ油、トマト、ガーリックの使用量が多くなり、地域によっては唐辛子も多用するようになる。
南部はさらにオリーブ油、トマト、ガーリックの料理という印象が強まり、肉は牛より羊が多く用いられるが、食材としては魚の方が多く用いられフルーツ類や木の実類も多用される。パスタは伝統的に乾燥パスタだ。
以上北から南のおおまかな料理の特性と違いを話してきましたが、ミラノファッションに代表される都会的でおしゃれな北部から昼食時には、大人も子供も家にもどり、3時間もかけて食事をする南イタリアに向かうにしたがい、時間の流れるスピードがだんだんゆっくりになって行くように思えてくる。そんなことも北~南の料理の違いに少なからず表れているのでしょう。
次回はパスタを中心にピッツアやオリーブオイルなど、「へ~、本当はそうなんだー」というような話しをなるべく多く入れて行きます。
~1999/11/5掲載~