イタリア料理とはWhat is Italian cuisine?
第12回 パスタ~その2~
さてパスタの種類は現在300種を越えると言われていますが、素材的にはセモリナで作られる乾燥パスタと強力粉をベースに作られることが多い生パスタに大別されます。
形態的には、ロングパスタ(スパゲッティーなど)、ショートパスタ(ペンネなど)シート状パスタ(ラザーニアなど)、リピエーノ(つめものをした ラヴィオリなど)に分けられます。
そして私的には、乾燥パスタの製造時に使用するトラッフィラーというダイスがテフロン製なのか銅製なのか?どちらを使用して生産されたパスタなの かで分けてみます。
テフロン製のトラッフィラによって、トコロテンのようにして押し出されて成型されたパスタは表面がツルツルで艶があり、黄色っぽい、アルデンテ に仕上げるためのタイミングの許容時間が長いので多少フライパンの中で調 理する時間がかかってもアルデンテが、そこなわれにくい。
しかし表面がツルツルの分だけ銅成型のものよりソースが絡みつきにくいことも言える。銅製のトラッフィラーで成型されたパスタは表面がザラザラ して白っぽいベージュ系の色をしたものが多い。テフロン成型のものよりソースのからみは良いがアルデンテに仕上げるタイミングがテフロン成型のも のよりやや短いので、手早く調理できる、プロやパスタをあつかいなれた人 向きである。両方とも長所短所があるが高品質の物であれば両方とも美味し い。テフロン成型の代表的メーカーは、イタリア国内70%以上のシェアを誇るバリラ社銅成型の代表的メーカーは高品質で知られるデチェコ社がある ちなみに当店は用途にあわせて上記の両社のパスタを使い分けている。
またパスタの種類、名前の多さは300以上と先にお話ししましたが同じようなものでも地方性によるほんの少しの型やサイズの違いで呼び方が違ったりする。
「あそこの、あのパスタとうちらのこのパスタとは、似ているが違うんだ」みたいにこだわりがあるようだ。いかにもラテン的、イタリア的ガンコさを 感じてしまう。
そこで私たちにもなじみの深いロングパスタの中でスパゲッティーの仲間とリボン状平麺のフェトチーネの仲間を例にあげてみます。
スパゲッティの仲間 | ||||||||
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(0.9mm) | ---> | (1mm) | ---> | (1.2~1.3mm) | ---> | |||
カペッリ・ダンジェロ | フェデリーニ | スパゲッティーニ | ||||||
カペッリーニ | ヴェルミッチェル | |||||||
フィットチーネの仲間 | ||||||||
(0.9mm) | ---> | (1mm) | ---> | (2mm) | ---> | (4~5mm) | ---> | |
バベッティーニ | タリエリーニ | タリオリーニ | フェトチーネ | |||||
(6~7mm) | ---> | (20~25mm) | ||||||
タリアテッレ | パッパルデッレ ストリシオーニ |
下に書いたパスタは1.9mm~2.6mm位の細い平状麺として、全部同じようなものと思われていることが多く、特にリングィーネ、バベッティ、トレネッティは専門書でも同じものとされていることが多いがあえて少しこだわってその断面で分けてみました。
<断面> リングィーネ ----------------------> 平たいレモン形 バペッティ ----------------------> 楕円 トレネッティ キターラ ----------------------> 長方形 (ギターの事をギターラと呼ぶ。ギターの弦で切ったからこう呼ばれる)
スパゲッティータイプの方は乾燥麺に多く、フィットチーネタイプは生麺に多いが、両方のタイプに共通して、細い麺はゆるめのソース(アーリオ・オーリオェ・ペペロンチーノやボンゴレなど)に向き、太めの麺は、重いソース(ボローニアソース・クリームソース)を使うものに向いています。
次回は、日本のゆかんだパスタ事情や、ちょっと意外な話などを中心に、「パスタとは何だ?」というテーマのもとにまとめていきたいと思います。
~1999/11/22掲載~