イタリア料理とはWhat is Italian cuisine?
第7回 中部イタリア料理~その1~
中部イタリアにはローマのあるラッツィオ州、フィレンツェのあるトスカーナ州ベルージャのあるウンブリア州などがあり、このあたりは北イタリアのように冬寒くなく南イタリアの夏のようにカラカラに乾く事もなく年間を通じ、温暖な地域である。
農作物もアーティーチョークやカラーピーマン、レタス類など豊富で、味も甘味も強くスケールも大きい。日本では野菜市場の事を青物市場と言ったりするが、ローマの市場などをのぞくと赤や黄色、オレンジや紫などのカラフルな世界である。こんなトマトやナスでソースや料理を作れば旨いものができて当たり前だとくやしくなるほどだ。
ラッツィオ州はローマを中心にこれらの太陽をいっぱいにあびた野菜を使った数々の料理があり、特にアーティーチョークやカラフルなピーマンを使った料理などは、この地方のにおいがする。
肉料理に関しては、サルティンボッカのような仔牛の料理が有名ですが、かつて貧しかった庶民達は安く手に入る内臓を使って工夫を凝らした料理を生み出した。牛の胃袋のトマト煮込み、仔牛の小腸の煮込料理、仔牛や仔羊の脳みその料理、胸腺を使った料理など現在ではローマの名物となっている。また、ローマは、海にも近く新鮮な魚介類も手に入る。それらの調理はいたってシンプルなものが多く、ボイルしただけや焼いただけでオリーブ油とレモン汁などで食したりトマトソースであえたり煮たりというものが主流だ。
又、このあたりは淡水魚も手に入り小魚はエスカベッシュにしたり大きめの魚はオーブン焼きにしたりするが、やはりシンプルに仕上げられる。
パスタに関してはローマと言えばカルボナーラを思い浮かべる人も多いが日本人がイメージするほどクリーミーではなくタマゴタマゴしていてパンチェッタという塩味の強い生ベーコンを使い、ペコリーノロマーノというこれも塩味の強い羊のチーズを混ぜ、黒コショーをバリバリと全体に挽いたもので旨い事は旨いが、濃厚な味を感じる以前に塩辛いと感じるものもある。
またローマはじゃがいもをすり潰して入れるニョッキというパスタを家庭でもよく食べる。ラッツィオ州の中でも山間のアマトリーチェ地方では、ブガッティーニという穴の開いた太いスパゲッティーのようなパスタを使い、パンチェッタとタマネギとニンニクを旨味として唐辛子のきいたトマトソースの料理がある。
かつてはトマトソースを入れなかったようだが、このあたりから南イタリアの北部にあたる地方では特に唐辛子の強い味付けが多い地方である。
~1999/9/23掲載~