ニノ・ペペローネ

イタリア料理とはWhat is Italian cuisine?

第14回 ピッツア

当店に来ていただける方の中に「ピッツアはやってないの?何で?」と聞く方が1年に数人いらっしゃいますが、ピッツアというのは、イタリア料理の中から少しはずれたカテゴリーで、日本のお好み焼屋さんや、フランスのクレープ屋さんのような感じのピッツェリアという店で食べられ、リストランテやトラットリアのメニューに無いのが普通です。レストランやトラットリアでの調理人は、クォッコ(カ)(料理人)と呼ばれますが、ピッツェリアで働く人はピッツァイオーロ(ラ)(ピッツア職人)と呼ばれ、違う職種として理解されています。

最近では昼間から営業しているピッツェリアもあるようですが、本来は、マキ釜の都合で夜7:00過ぎ頃からしか開店しないのが普通です。

イタリアのピッツアと聞くと、イタリアに住んだことのある人や、旅行に行った人でも、うすくて、パリッとしたサクサクのピッツアドゥをイメージする人が多いでしょう。

事実ローマ・ミラノ・フィレンツェ・トリノなど、日本人が多そうな所のピッツアは、今では、そういうものになっている。しかし、本当の本場ナポリのピッツアは、厚くて、まわりのドテがふっくらしたイーストチックなピッツアなのです。

そして、このナポリのピッツアを食べた人は、その旨さに、ガクゼンとしてしまうのです。
ナポリには、このナポリスタイルのピッツアを守る組織があり、使用している小麦粉が定められたものか、モッツアレラチーズを何パーセント使用しているかなど、抜き打ちでチェックしに来たりして、それにパスしている店だけが、”この店は、本当のナポリピッツアを出す店ですよ”という印の看板を、店先に出すことができるのです。そして、このナポリピッツアに使用する定められた小麦粉というのが特にピッツア用として選ばれたもので、日本など、海外に輸出することを禁じているのです。ですから、日本でこのナポリスタイルのピッツアを焼こうとする時、それが最大のネックになってしまうのです。
それほど、美味しいピッツアドウゆえに、ナポリのピッツアというのは、元々トマトとバジリコ、オレガノなどをピッツアドウの上に乗せて、塩をかけて焼いただけのものでチーズは使わなかった。というより、十分それで旨かったのでしょう。

1889年にラッファエロ・エスポジートというピッツア職人が、イタリア女王にトマトとバジリコとモッツアレラチーズを使って焼いたピッツアを献上し、それがマルゲリータと呼ばれ、それから、ピッツアにモッツアレラチーズを使うようになったようだ。

現在では、ファーストフードのように切り売りで食べさせてくれるところもありますが、好きな物をのっけて焼いて、気軽にかぶりつくのがいいんじゃないかと思います。
しかし、ローマのあるピッツェリアのオーナーの話では、イタリアのピッツアは、カットして出すのは本来でなく、中心からナイフ、フォークを使って自分でカットして食べるのが、本当の食べ方だと言っていました。

そして、ナポリのピッツアについて話したら、都会のピッツアは、うすいのだそうだ。
いかにも、ローマの人、イタリアの人らしい意見でした。

あと、カルツォーネという大きなギョーザのようなピッツア(半月形の折りピッツア)がありますが、釜で焼いたり、油で揚げたりして作ります。

小さいサイズのものは、カルツオンチーノと言ったりもします。これによく似たもので、同じ物と思っている人も多いのですが、パンツアロッティーという物があります。これは、ピッツア生地で作るものではなく、パスタの生地で作る大きなラヴィオリみたいに思ってください。

~1999/12/22掲載~

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