第2回 イタリア料理店の種類

最近では、当店もテレビや雑誌などの取材を受ける事がしばしばあり、そういう時にイタリア料理を取り上げていただく場合、それぞれのイタリア料理店の種類の区別が読者や視聴者にだんだんわかっていってもらえるような編集をよくお願いしている。

というのもとかくイタリア料理店自体のくくり方が”じゅっぱひとからげ” というか、和食に置き換えればソバ屋もモンジャ屋も料亭も小料理店も居酒屋もすべてひとからげにされて和食という言い方にされてしまっているようなものであるからです。

もちろんすべて和食には違い無いわけですがそれぞれの店に行く場合、かなり気持ちや目的に違いがあるはずである。

イタリア料理の場合、イタリアンレストラン、イタメシ屋、スパゲッティー屋くらいの呼び方がある程度ですがそのはっきりとした区別や利用の仕方もよくわかっていないように感じる。

そこで今回はイタリア料理店の種類についてお話したいと思います。
細かい言い方までひろうと色々ありますが、イタリアで最も代表的な言い方と多少違いはあっても日本料理店の呼び方との比較をしてみました。

  • リストランテ・・・料亭
  • オステリア・・・料亭
  • タベールナ・・・小料理屋
  • トラットリア・・・大衆食堂
  • タボラカルダ・・・軽食屋
  • スパゲッテリア・・・パスタと軽食、喫茶(そば屋的)
  • ピッツアリア・・・ピッツアと軽食、喫茶(モンジャ、お好み焼き的)
  • バール・・・パニーノなどと喫茶、居酒屋

リストランテはランク的には最上級のレストランで服装などもチェックされる場合もあり、パスタだけを食べに行くような所ではない。リストランテという呼び方は19世紀中頃からあるようで本来それを名乗るには、前菜、魚料理肉料理、野菜料理と分けられたメニューを持ち、パンを自家製造しデザートの専門部門を持ちワインセラーがなくてはならない。

サービス部門においてもウエイターとソムリエが分かれている必要があったようだ。現在ではイタリアでもトラットリアとあまり区別の付かないようなリストランテもある。

オステリア、タベールナも小料理屋さん的食堂でその名はやはり中世あたりからあったようである。この2つには大きな違いはないが元来オステリアとは旅籠の意味でこうした 小さなホテルの食堂やそれが独立したような場合にオステリアと名乗る事が多いようでタベールナもそれに近いものがあり、旅行者を対象にした食堂であったようだが現在では区別はない。

トラットリアは、最も大衆的で日本的にイメージすればソバもカレーもどんぶりもトンカツもステーキもやってるような定食屋さん的な食堂である。

格式のあるリストランテに比べ上品さには多少かけるがその味は決してひけをとるものではなく、本当にうまい店が多い。

またパスタだけでもOKの店もあるが基本的には、イタリア料理屋さんであるので前菜からパスタ、メインディッシュ、デザートまでオーダーするのが通常でその流れで一品の料理、一組の料理と考えるべきである。

それに対しパスタだけとかピッツアだけとか食べたい場合に利用するのがスパゲッテリアとかピッツアリア。ついでにアイスクリームのジェラテリアなどがある。
タボラカルダも本当に軽い喫茶店の食事みたいな感じである。

バールと言うのはパニーノ(注)のようなパン系のものやその他軽食類、ドリンク、エスプレッソ、酒類などがカウンターの立ち食いで食べられる。テーブルやオープンカフェみたいな席を待つところもあるが、それぞれの席によって同じものでも値段が違うケースが多い。

イタリア人たちの生活にとても身近であり朝食はバールでとる人が多く、前日のサッカーの試合の話やイタリアでは人気の高い自転車のロードレースの 話などで盛り上がりながらコルネット型のパンにエスプレッソという朝食をよく見かける。

駅の立ち食いソバ屋的でもあり生活感としては日本のコンビニ的でもあり、深夜も営業しているので居酒屋的でもありイタリアの人達の駄菓子屋なのかも知れない。この感覚は日本の食堂には見当たらないと思う。

ざっとイタリアにおけるレストランのジャンル分けをしてみましたが、日本ではただ単純に食堂⇒英語でレストラン。レストランはイタリア語でリストランテと解釈して「リストランテ○×△□」みたいに名づけてある場合もある。もちろんプライドのある高級レストランを意味する店も当然ある。1988年当時にはめずらしかったトラットリアやタベールナなどの名称も最近ではよく耳にするようになったが、それぞれにオーナーの考えが感じられる。

日本のイタリア料理店においても、その店がどういうジャンルの店でどんなものをオーダーしたら、どんなオーダーの仕方をしたらその店の魅力が味わえ楽しめるのか、嗅ぎ分けられるとイタリア料理の世界がもっと広がると思います。
(注)パニーノ
とりあえずホットドッグ・ハンバーガーみたいなものをイメージしてもらいたい。
パンは固めの歯ごたえのしっかりした長細いものを使うケースが多いが丸形のものを使う事もある。上下半分にカットした面を(網目のつくようなもので)焼いてオリーブオイルをたらし生ハムやルーコラ、トマト、焼いたナスやカラーピーマンなどイタリア的な食材をはさんでモグモグ食べるもの。
ちなみに、パニーノをパニーニという言い方もあるが同じものである。厳密に言えばパニーノは英語で言う単数形、パニーニは複数形と言う事になる。

~1999/6/25掲載~